恵愛生殖医療医院は、不妊治療・体外受精・不育治療の専門医院です

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ピュアリコンビナントプロトコールについて

体外受精治療について

現在、わが国で使用されている排卵誘発の注射は原材料に違いにより大きく2種類に分かれています。閉経後女性の尿から精製した尿由来製剤と、遺伝子組み換え型のリコンビナント製剤です。
尿由来製剤の利点として2点あり、一つは何といっても価格が安いという点です。2点目はLH・HCG様作用の製剤があるという点です(詳しくは後述します)。
尿由来製剤には欠点もあり、人間の尿から精製されているので未知の感染症の可能性があるという点です。既知の細菌やウイルスは完全に除去されていますが、未知のウイルスやBSE(狂牛病)などの病原体である異常プリオン蛋白は完全には除去できない可能性が指摘されています。(現在日本で発売されている尿由来製剤は安全です。BSE発生国の尿は使用されておらず、また尿由来製剤によるウイルス感染症やプリオン病の発生は、今までに一度も確認されておりません。)
また、尿を原料としているので同じ薬剤でもロット間で効果にばらつきがある可能性が指摘されています。また固形なので注射液で溶かさなければならず、煩雑で特に自己注射が難しくなります。

これらの欠点を克服したのがリコンビナント製剤です。生物由来ではないため、感染症の可能性はゼロです。また製剤の効果もばらつきなどは全くなく安定しており、卵や胚の質が向上する可能性があります。
また、リコンビナント製剤は不純物が全くないため、副作用が少なく自己注射に適しています。自己注射用に特化して開発されているため、もともと液体となっており扱いも簡単で、注射針も極めて細く痛みも少なくなります。
諸外国では、古くからリコンビナント製剤が使用されており、現在では上記の欠点もあり尿由来製剤はほとんど使用されていないとされています。

リコンビナント製剤と尿由来製剤の比較(太字は利点)

リコンビナント製剤 尿由来製剤
感染症 なし 未知の感染症の可能性あり
価格 高い 比較的安い
排卵誘発の効果 品質が安定しており効果が高い 効果が安定しない可能性がある
自己注射 簡便で、痛みが少ない 煩雑で、比較的痛みが強い
LH・HCG様作用 HCG製剤が発売されたばかり HMG製剤(LH様作用が含まれている)、HCG製剤がある

当院では開院以来、主に尿由来製剤を使用してきました。
その理由として、価格が比較的安く患者様の経済的負担が少なくなるということももちろんありますが、最も大きな理由は日本で発売されているリコンビナント製剤はFSH製剤しかなかったからです。(諸外国ではLHやHCGのリコンビナント製剤が古くから販売されています) 体外受精での排卵誘発では、FSH製剤のほかにLHやHCG様作用の製剤が不可欠であり、純粋なリコンビナント製剤のみでは体外受精治療を行うことができなかったのです。
体外受精のすべての過程でリコンビナント製剤が使用できなければ、前述の尿由来製剤の欠点は克服できません。そうであれば患者様の経済的負担の軽い方が良いと考えて、原則尿由来製剤を選択してきたわけです。

先日、待ち望まれていたリコンビナントHCG製剤が日本で発売されました。
すでに販売されているリコンビナントFSH製剤と組み合わせることにより、純粋なリコンビナント製剤のみによるプロトコール、ピュアリコンビナントプロトコールによる体外受精治療が可能となったのです。

当院では、患者様の安全と体外受精の成績向上を第一に、この“ピュアリコンビナントプロトコール”を全面的に導入してまいります。

リコンビナント製剤の唯一の大きな欠点である、価格に関してはかなり努力させていただきました。その他のアンタゴニスト製剤やアゴニスト点鼻薬などの価格も見直しして一部値下げをしております。それでも尿由来製剤よりは割高となりますので何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。

*下垂体性無排卵症などにより大量の排卵誘発剤が必要な方など、主治医の判断により尿由来製剤を使用する場合がございます。

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