恵愛生殖医療医院は、不妊治療・体外受精・不育治療の専門医院です

アクセス  

Tel:048-485-1185Tel受付時間: 9:00〜12:00/14:00〜18:00

凍結融解胚移植について

体外受精治療について

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植を実施するにあたり、患者様・ご夫婦にはあらかじめ同意をいただいております。以下の項目をお読みになった後に、説明にご納得していただけましたら、同意書に署名・捺印をお願いいたします。
この治療方法は説明と同意に基づく、医師と患者様との治療契約となります。予めご理解いただけるようお願い申し上げます。

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植とは

はじめに

体外受精・胚移植では、子宮に移植する胚の数が多くなるほど1回の胚移植における妊娠率が高くなるため、以前は複数個の胚が移植されてきました。その結果、多胎妊娠が増加し周産期や新生児期の医療に深刻な問題を投げかけてきました。
このため胚移植数を減らし多胎妊娠を予防するために、現在では日本産科婦人科学会会告により原則胚移植数は1個に制限されています。
一方、凍結技術の進歩により胚へのダメージをほとんど与えずに、胚を一旦凍結しその後融解しての胚移植をすることができるようになってきました。近年では、胚を凍結せずに移植する新鮮胚移植と比較して、むしろ凍結融解胚移植のほうが妊娠率が良いという報告が多くなってきています。
また、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)では妊娠すると悪化するため、特に過排卵誘発周期においてOHSSの重症化が予想される患者様には、あえて新鮮胚移植をせずに全ての胚を凍結(全胚凍結)し、OHSSの重症化を予防する必要があります。
このように、原則当院では過排卵誘発周期(注射を使用した体外受精)においては全胚凍結としており、その後の凍結融解胚移植の移植胚数は1個に制限しております。

胚(受精卵)・卵子の凍結保存とは

受精卵・卵子の凍結保存とは、液体窒素の中で細胞の機能を損なうことなく長期保存を可能とする方法です。細胞の中には水分が多く含まれるため、それが凍ると結晶になり、そのとげが細胞の中の構造を壊します。
それを防ぐため、凍結保護剤を用い、できるだけ細胞の中が壊れないような冷やし方を工夫して、胚を守りながら保存します。特殊なストローの中に封入し液体窒素保管器の中で保存します。この方法は主に急速ガラス化法と緩慢凍結法の二種類があり、現在、当院では急速ガラス化法(Vitrification法)を行っております。

凍結保存の方法

1. 凍結保存
凍結保護剤を用いて胚・卵子を急速ガラス化法で凍結し、液体窒素(-196℃)の中で凍結保存します。凍結胚は、ART凍結胚管理システムに、氏名・保管場所・凍結胚・卵子の状態・個数などを詳細に記録し、施錠を行った上で厳重に保管されます。
2. 凍結胚の融解
凍結胚の融解は急速融解法を用いています。この方法では胚を液体窒素内から常温へ移し、急速に融解させます。
凍結胚は凍結及び融解の際にまれにダメージを受けることがあるため、融解した胚がすべて生き返り、良い状態で分割が進むとは限りません。融解後しばらく培養し、最終的な状態を確認して移植を検討します。
3. 融解胚移植
以下の三つの方法があります。当院では、原則ホルモン補充周期による胚移植を行います。患者様・ご夫婦と相談した上で、最も適した方法を選択していきます。

(1) ホルモン補充(HRT)周期-凍結融解胚移植
お薬(貼り薬・飲み薬)だけで子宮内膜をつくり胚移植する方法です。排卵は抑えてしまいます。子宮内膜の調整が確実にできるので、胚移植の日程なども事前に決定することができます。妊娠が成立した後も長期のホルモン補充が必要となることがあります。
(2) 自然周期-凍結融解胚移植
自然排卵のタイミングを合わせて胚移植をする方法です。排卵を確認した時点で胚移植日を決定します。

凍結胚移植の適応

当院では過排卵誘発周期(注射を使用した体外受精)においては標準的な方法として全胚凍結としております。したがってほとんどすべての方が適応となります。
特に以下の場合が対象となります。

  1. 1. 採卵数が多く卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の重症化を起こす可能性が高いため、胚移植がキャンセルとなった場合
  2. 2. 胚移植後に余剰胚が生じた場合
  3. 3. 子宮内膜が薄いなど着床しづらい可能性があるため、胚移植がキャンセルとなった場合

凍結胚数の制限について

凍結胚を保存するスペースは限られており、多額のランニングコストがかかります。また、1回の採卵で、妊娠し出産までできる胚の数は多くても3-4個と考えられます。(1回の採卵あたり、生まれる赤ちゃんが3-4人ということです)
以上の理由から、当院では一回の採卵あたりに凍結できる胚は8回分(16個分)までと制限させていただきます。17個以上の胚凍結をすることはできません。
9個以上の胚が凍結できる場合、2個ずつ胚を凍結させていただきます。
(9個胚の場合は1個 x 7回分 + 2個 x 1回分、10個胚の場合は1個 x 6回分 + 2個 x 2回分など)
通常は良好胚と良好でない胚をセットにして凍結します。
移植できる胚は1個と制限されていますので、もう一つの良好でない胚は破棄することになりますので何卒ご了承ください。

凍結胚の移送について

原則、凍結胚の移送はお勧めしません。移送中にトラブルが発生する可能性はもちろんですが、移送した胚の取り扱いについて責任の所在があいまいになってしまうからです。もし遠方への転居などの理由で、どうしても移送する必要がある場合は移送先をご自身で見つけてきてもらい、患者様自身の責任で移送をしていただくことになります。移送した後に起きたことに対しては一切の責任は負えませんので、何卒ご了承ください。
また当院では、他院からの凍結胚の移送は一切お受けしておりません。

凍結保存の成績

2012年の日本産科婦人科学会の統計では凍結融解した胚を子宮に移植した際、着床し妊娠する確率は33.7%と報告されています。これは胚を凍結せずに移植する新鮮胚移植の20.8%を大幅に上回ります。凍結胚移植の方が、年齢層が若いおよび着床の環境が良くなる、というのが理由であると考えられています。
また、凍結融解操作が胚に与える影響が懸念されますが、凍結胚で妊娠した赤ちゃんを出生後調査したところ、身体発達にも精神発達にも自然妊娠と差は認められなかったと報告されています。また、マウスなどの動物胚でも、凍結に由来する異常は見つかっていません。

凍結保存の期間

凍結保存期間は原則として1年ですが、延長して保存することも可能です。延長保存をご希望の場合は1年ごとに更新の手続き・同意書の提出をお願いいたします。保存期間の更新は、保存期間終了日の3ヶ月前から更新可能となっております。
6か月以上更新されていない患者様には、書面にて連絡させていただきます。その後、更新の意思が確認できない患者様の胚は延長希望のないものとして保存を中止し自動的に廃棄処分とさせていただきますので、何卒ご了承ください。

凍結保存終了について

以下のいずれかの条件に当てはまる場合、凍結胚は廃棄となり以後に融解胚移植は実施できません。

  1. 1. 離婚された場合やご夫婦のどちらかが死亡された場合、または行方不明となった場合
  2. 2. 患者様の生殖可能年齢を超えた場合(50歳以上の方には融解胚移植することができません)
  3. 3. 妊娠することにより患者様の健康や生命に危険が及ぶと予想されるような場合
  4. 4. 患者様の希望により凍結胚を廃棄する場合
  5. 5. 凍結延長の手続きがされてない場合

上記以外にも融解胚移植ができなくなることがあります。

凍結保存の費用

まず凍結保存時に胚凍結手技料として54,000円をいただきます。その後は1年ごとに更新が必要で、更新料は1年で10,800円となります。

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植を実施した場合

凍結保存および融解・胚移植を実施した場合の利益

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の重症化予防
余剰卵の有効利用
多胎妊娠の予防
妊娠率の向上の可能性など

凍結保存および融解・胚移植のリスク

1. 凍結胚のダメージ
凍結融解操作の過程で氷晶、低温、耐凍剤に由来するダメージを受ける可能性があります。その場合、胚移植がキャンセルとなる可能性があります。
2. 透明帯の硬化
凍結保存によって胚のまわりの殻(透明帯)が固くなってしまうことがあります。透明帯から脱出できないと着床することができないので、融解後に透明帯を薄く削る方法(アシステッドハッチング・孵化補助)の適応になることがあります。
3. 不測の事態による影響
凍結胚の管理には、厳重な体制をとっており、半永久的に保存が可能です。しかし、天災である地震や火災などで凍結容器の破損や転倒などがあった場合、水害などで凍結容器が水没してしまった場合など、不測の事態による影響は回避できないことも有り得ることをご理解くださるようお願い申し上げます。
また、当院が閉院となる場合は事前に連絡をいたします。ご希望があれば他院へ凍結胚を移送する手続きをとらせていただきますが、移送先の不妊治療施設は患者様ご自身で探してもらうことになります。移送した後に起きたことに対しては、当院では一切責任を負えません。また、何らかの理由(医師の急死など)で当院が突然閉院となった場合、凍結胚の移送もできなくなることがありますので何卒ご了承ください。

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植を実施しない場合

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症が予想される場合、新鮮胚移植ができなくなり、凍結をしない場合余剰胚を廃棄させていただくことになります。もし新鮮胚移植を強行するとOHSSが重症化する恐れがあります。
また、OHSS重症化の危険性が少ない場合でも移植胚数が制限されていますので、余剰胚があった場合は廃棄せざるを得なくなります。

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植を実施しない場合の他治療法等の選択肢について

新鮮胚移植をすることになります。ただし上記の危険性があり、場合により余剰胚を廃棄しなければなりません。

同意書の撤回について

同意書をいただいた後でも、同意を撤回することはできます。その場合は担当医と、よくご相談ください。また、同意をしなくても、今後の当院での治療において不利益を受けることは一切ありません。

不同意の場合の治療の継続について

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植を実施することに同意できない場合は、担当医と今後の治療方法などについて、再度よくご相談ください。

緊急時の対応について

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植を実施中に、予期せぬ事態が発生した場合は、担当医が最善の対処を致します。処置内容などについては担当医の判断にお任せください。

質問の機会について

説明された内容についてわからないことがある場合は、ご遠慮なく医師に質問をしてください。同意書をいただいたあとでも、質問することはできます。

カウンセリングの機会について

胚(受精卵)・卵子の凍結保存および融解・胚移植についてのカウンセリングをご希望されるかたは担当医または看護師にお申し出ください。

学会への報告義務について

赤ちゃんへの影響などまだわかっていないこともありますが、そのためにも我々は体外受精や受精卵・卵子の凍結保存および融解胚移植の結果を日本産科婦人科学会に報告する義務があります。なお、報告する内容に患者様の氏名など個人情報を特定できるようなものは含まれておりません。また、これとは別に当院では治療成績を関連する学会などや論文誌上に発表することがありますが、同様に患者様の個人情報保護に充分留意して行います。

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