チョコレート嚢胞とは?症状・原因や治療法、妊娠への影響をわかりやすく解説

「チョコレート嚢胞があると言われたけれど、どんな病気なの?」「妊娠できるのか、がんにならないか心配」と不安を感じていませんか。
チョコレート嚢胞は、卵巣にできる子宮内膜症の一つで、多くは良性の病気です。薬物療法や手術など治療の選択肢があり、チョコレート嚢胞があっても妊娠をめざすことは可能です。
ただし、月経を重ねるごとに進行しやすく、妊娠しにくさにつながったり、まれにがん化したりすることもあります。年齢や妊娠の希望によって適した治療が異なるため、病気の特徴を知ったうえで、早めに医師と相談することが大切です。
本記事では、チョコレート嚢胞の症状や原因、治療法、妊娠への影響、がん化・再発のリスクまでわかりやすく解説します。妊活中の方や、これから妊娠を考えている方はぜひ参考にしてください。
チョコレート嚢胞とは?
チョコレート嚢胞とは、卵巣の中に古い血液がたまり、袋状にふくらんだ状態のことです。正式には「卵巣子宮内膜症性嚢胞」と呼ばれ、子宮内膜症の一つに分類されます。
子宮内膜症は、子宮の内側にあるはずの子宮内膜に似た組織が、子宮以外の場所で増えてしまう病気です。この組織が卵巣にできると、月経のたびに卵巣の中で出血が起こります。出血した血液は体の外に出られないため、少しずつたまって古くなり、チョコレートのような色の液体になることから「チョコレート嚢胞」と呼ばれています。
子宮内膜症は20〜30代の女性に多く、卵巣から分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)の影響を受けて、月経を重ねるごとに悪化しやすいのが特徴です。一方、閉経してエストロゲンが減ると、症状は落ち着いていくとされています。
チョコレート嚢胞の主な症状
チョコレート嚢胞を含む子宮内膜症で、最も多くみられる症状が月経痛です。日本産科婦人科学会によると、子宮内膜症の患者さんの約9割に月経痛がみられるとされています。
月経痛のほかにも、以下のような症状が現れることがあります。
- 月経時以外の下腹部痛や腰痛
- 性交時の痛み
- 排便時の痛み
- 妊娠しにくさ
これらの症状は、年々強くなりやすいのが特徴です。「月経痛はがまんするもの」と思い込んでいると、受診のきっかけを逃してしまうこともあります。痛み止めが効きにくくなってきた場合や、日常生活に支障が出ている場合は、我慢せずに婦人科を受診しましょう。
チョコレート嚢胞が妊娠しにくさにつながる理由
チョコレート嚢胞があると、背景にある子宮内膜症の影響で、妊娠しにくくなることがあります。
妊娠しにくくなる主な理由の一つが、骨盤の中で起こる炎症や癒着です。子宮内膜症の病変は月経のたびに出血と炎症を繰り返すため、卵巣や卵管が周りの組織とくっついてしまうことがあります。その結果、排卵された卵子を卵管がうまく取り込めなくなり、受精のチャンスが減ってしまうのです。
また、炎症によって生じる物質が、卵子や精子、受精卵に影響を与える可能性も指摘されています。さらに、嚢胞が大きくなったり両側の卵巣にできたりすると、卵巣の働きそのものが低下する場合があるとする報告もあります。
ただし、チョコレート嚢胞があるからといって、妊娠できないわけではありません。病気の状態に合わせて治療を選ぶことで、妊娠をめざすことは可能です。
チョコレート嚢胞の検査・診断方法
チョコレート嚢胞は、主に問診や超音波検査、画像検査によって診断されます。
まずは問診で月経痛や症状の経過を確認し、内診で子宮や卵巣の動き、痛みの有無を調べます。そのうえで経腟超音波検査を行い、卵巣に嚢胞があるか、どのくらいの大きさかを確認します。
超音波だけでは判断が難しい場合は、MRI検査を行います。MRIでは嚢胞の中身が血液かどうかを見分けやすいため、ほかの種類の卵巣嚢腫との区別や、悪性を疑う所見がないかの確認に役立ちます。
あわせて、血液検査で腫瘍マーカー(CA125)を調べることもあります。ただし、CA125は子宮内膜症や月経中にも上がることがあるため、数値だけで良性・悪性を判断することはできません。
なお、子宮内膜症そのものは腹腔鏡で病変を直接確認して診断する方法もありますが、チョコレート嚢胞では画像検査が広く用いられています。
チョコレート嚢胞の治療法
チョコレート嚢胞の治療には、主に薬物療法と手術があります。症状の強さや嚢胞の大きさ、年齢、妊娠の希望などをふまえて選択されます。
鎮痛剤やホルモン療法による薬物療法
痛みが主な症状の場合は、まず鎮痛剤で痛みを和らげます。鎮痛剤で効果が不十分な場合は、ホルモン療法が検討されます。
主なホルモン療法の種類は以下のとおりです。
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 低用量ピル(LEP) | 排卵を抑えて月経痛を和らげる。血栓症のリスクに注意が必要 |
| 黄体ホルモン製剤(ジエノゲストなど) | 子宮内膜症の病変そのものに作用し、進行を抑える。不正出血がみられることがある |
| GnRH製剤 | エストロゲンを強く抑える。骨量の減少などがあるため、使用期間が限られる |
ホルモン療法によって、痛みの軽減や嚢胞の縮小が期待できる場合があります。ただし、薬は病気を根本から治すものではないため、服用をやめると症状が戻ることもあります。
また、ホルモン療法中は排卵が抑えられるため、妊活と並行して行う治療ではありません。ただし、妊娠を完全に防げるとは限らないため、治療中の避妊については医師の指示に従いましょう。
嚢胞が大きい・痛みが強い場合は手術も検討
嚢胞が大きく痛みを伴う場合や、薬物療法で十分な効果が得られない場合は、手術が検討されます。画像検査で悪性を否定できない場合も、診断を確定するために手術が行われます。
手術では、お腹に小さな穴をあけて行う腹腔鏡手術で、嚢胞だけを取り除く方法が一般的です。卵巣を残せるため、妊娠を希望する方にも選ばれています。
一方で、嚢胞を取り除く際に正常な卵巣組織も一部失われ、卵巣予備能(卵巣に残っている卵子の数の目安)が低下する可能性があります。
そのため、妊娠を希望している場合は、手術のメリットとデメリットを医師と十分に話し合うことが大切です。手術の具体的な方法や入院期間については、以下の記事もあわせてご覧ください。
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妊娠を希望する場合の治療の進め方
チョコレート嚢胞がある方が妊娠を希望する場合は、病気の治療と妊活をどのように両立させるかがポイントになります。
年齢や卵巣予備能によっては早めに体外受精を検討
チョコレート嚢胞がある場合の不妊治療は、年齢やAMH(卵巣予備能の指標)、嚢胞の大きさ、痛みの程度などをふまえて方針を決めます。
例えば、子宮内膜症がある方の不妊治療では、体外受精や顕微授精に早めに進むことがあります。これは、手術によって卵巣予備能が下がる可能性があることや、年齢とともに妊娠しやすさが低下していくことが関係しています。
一方で、痛みが強い場合や嚢胞が大きい場合などは、先に手術を行うこともあります。どちらを優先するかは一人ひとり異なるため、不妊治療を行う医療機関で相談しながら決めていきましょう。
ホルモン療法と妊活のタイミングを相談する
ホルモン療法を受ける場合は、妊娠を希望する時期に合わせて、治療を中止・変更するタイミングを医師と相談します。
前述のとおり、ホルモン療法中は排卵が抑えられるため、妊活を始める際には治療の見直しが必要です。多くの場合、薬をやめると排卵は再開します。
すぐに妊娠を希望する場合は、年齢や卵巣の状態などに応じて、不妊治療を優先することがあります。一方、妊娠を希望する時期が数年先であれば、ホルモン療法で症状や再発を抑えながら、その時期に備える方法も考えられます。
妊娠の希望は、治療方針を決めるうえで大切な情報です。具体的な時期が決まっていなくても、早い段階から医師に伝えておきましょう。
チョコレート嚢胞のがん化と再発
チョコレート嚢胞は多くが良性ですが、がん化や再発の可能性がある病気です。長く付き合っていくためにも、リスクを正しく理解しておきましょう。
チョコレート嚢胞はまれにがん化することがある
日本産科婦人科学会によると、チョコレート嚢胞は約1%ががん化するといわれています。頻度は高くないものの、数年〜数十年たってからがん化する場合もあるため、注意が必要です。
また、日本婦人科腫瘍学会によると、チョコレート嚢胞の手術を受けた方の調査では、年齢が高いほど、また嚢胞が10cm以上の場合に、卵巣がんの合併率が高かったと報告されています。
治療後も再発しやすく長期的な経過観察が必要
チョコレート嚢胞は、薬物療法・手術のどちらを選んでも再発しやすい病気です。手術で嚢胞を取り除いても、同じ卵巣や反対側の卵巣に再びできることがあります。
再発を防ぐ方法として、術後に低用量ピルなどのホルモン療法を続けることで、再発のリスクを下げる効果が期待できると報告されています。ただし、妊活を始める際にはホルモン療法の見直しが必要なため、妊娠を希望する時期に合わせて治療を調整する必要があります。
なお、再発の有無は、定期的な超音波検査で確認していきます。閉経後は症状が落ち着くことが多いものの、嚢胞が残っている場合などは経過観察が必要です。治療後も、医師の指示に従って通院を続けましょう。
まとめ
チョコレート嚢胞は、卵巣にできる子宮内膜症の一つで、強い月経痛や妊娠しにくさの原因となることがあります。治療には薬物療法と手術があり、症状や嚢胞の大きさ、年齢、妊娠の希望によって適した方法が異なります。
妊娠を希望する場合は、ホルモン療法や手術のタイミング、体外受精を検討する時期などを含めて、治療の進め方を考えることが大切です。また、まれにがん化することや再発しやすいことから、長期的な経過観察も欠かせません。
気になることがある場合は、不妊治療を行う医療機関へ相談しましょう。
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