不育症の検査内容を徹底解説|受けるタイミング・費用・保険適用も紹介

「流産をくり返してしまい、不育症の検査を受けるべきか悩んでいる」
「不育症の検査にはいくらかかるのか」
このような不安を抱えていませんか。
不育症の検査には、内診・経腟超音波検査・子宮卵管造影検査・血液検査などがあります。検査項目によっては保険適用となるものもありますが、自費診療となる検査も少なくありません。
とはいえ、検査によって現状を正しく把握すれば、次の妊娠に向けた対策を立てやすくなるので、まずは医療機関を受診することから始めてみましょう。
本記事では、不育症の主な検査内容や費用目安などを解説します。不育症検査の具体的な流れなどもわかりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてください。
不育症の主な検査内容
不育症が疑われる際に行われる主な検査は、以下のとおりです。
- 内診
- 経腟超音波検査
- 子宮卵管造影検査
- 子宮鏡検査
- ホルモン測定
- 血糖値測定
- 血液線溶凝固因子検査
- 自己抗体検査
- 感染症検査
- 染色体検査(末梢血染色体検査)
それぞれの検査内容について詳しく解説します。
内診|女性のみ
内診は、医師が腟・子宮・卵巣などの状態を直接確認する基本的な検査です。子宮の位置・大きさや卵巣のはれ、圧痛の有無などを確かめます。
あわせて、おりものの状態や炎症のサインがないかもチェックするケースが一般的です。内診は、特別な機器を使わずに身体の状態を把握できるため、不育症検査における最初のステップとして実施されます。
経腟超音波検査|女性のみ
経腟超音波検査は、細い超音波の機器を腟内に入れ、子宮や卵巣の様子をモニターに映し出して確認する検査です。子宮の形の異常や子宮筋腫の有無などを詳細に観察できるうえ、身体への負担が少なく、痛みもほとんどありません。
子宮の形に異常があると流産をくり返しやすくなるため、経腟超音波検査の結果は不育症の判断に有効な手法とされています。
子宮卵管造影検査|女性のみ
子宮卵管造影検査は、子宮の入り口から造影剤を注入し、X線で撮影する検査です。子宮内部の広がりや卵管の通り具合などを確認できます。
子宮の形の異常は、着床のしやすさや妊娠継続率に影響するものです。超音波ではわかりにくい子宮の変形を立体的に把握できる子宮卵管造影検査は、不育症の原因を探るうえでも有効な手法とされています。
子宮鏡検査|女性のみ
子宮鏡検査は、細いカメラを腟から子宮内へ挿入し、子宮の内側を直接観察する検査です。子宮内のポリープや筋腫、癒着など着床を妨げる要因がないかを確認します。
子宮鏡検査は内部の状態を目視で確かめられるため、ほかの検査で異常が疑われたときにも用いられます。
ホルモン測定|女性のみ
ホルモン測定は、血液を採取し、妊娠の維持に関わるホルモンの状態を調べる検査です。
ホルモン測定では、特に甲状腺ホルモンや黄体ホルモンなどが重視されます。甲状腺の機能に異常があったり、黄体ホルモンの分泌が不十分だったりすると、流産のリスクが高まることがあるためです。
ホルモンのバランスを確認することで、治療でコントロールできる要因がないかを見極められます。
血糖値測定|女性のみ
血糖値測定は、糖質の代謝に異常がないかを確認する検査です。基本的には、血液検査のなかで血糖値の状態を調査することになるでしょう。
糖質のコントロールが不十分な場合やすでに糖尿病を患っている場合は、流産のリスクが高まることが知られています。そのため、血糖値に異常が見られた場合は、必要に応じて生活習慣の見直しや治療を行わなければなりません。
血液線溶凝固因子検査|女性のみ
血液線溶凝固因子検査は、血液の固まりやすさや溶けやすさに関わる成分を調べる検査です。
血液が固まりやすい体質があると、胎盤の血流が滞り、流産や胎児の発育に悪影響を与える可能性があります。そこで、腕の静脈から血液を採取し、血液が固まりやすくなる体質や凝固・線溶系の異常を調べます
自己抗体検査|女性のみ
自己抗体検査は、身体を守る免疫が、自分自身の成分を誤って攻撃していないかを調べる検査です。基本的には血液を採取して、抗リン脂質抗体の有無などを調査します。
抗リン脂質抗体は、血栓をつくりやすくし、流産を引き起こす要因となり得るものです。抗リン脂質抗体症候群が確認された場合は、抗凝固薬や抗血小板薬などによる治療を進めるケースもあります。
感染症検査|女性のみ
感染症検査は、妊娠の経過に悪影響を及ぼす感染症にかかっていないかを調べる検査です。多くの場合は、血液や腟の分泌物を採取し、梅毒やクラミジアなどの感染状況を調べます。
感染症を患っている場合は、胎児に感染する可能性も否定できません。そのため、妊娠前の段階から健康状態を把握しておくことが大切です。
染色体検査(末梢血染色体検査)|女性・男性
染色体検査(末梢血染色体検査)は、男女それぞれの血液を採取し、染色体の構造に異常がないかを調べる検査です。均衡型転座をはじめとした染色体の構造異常があると、流産をくり返す可能性が高くなります。
なお、染色体検査では、想定外の染色体異常が発覚するケースもあるので、実施すべきかどうかは夫婦でよく話し合うようにしましょう。
【関連記事】不育症に対する末梢血染色体検査
不育症検査にかかる費用
不育症検査に係る費用の目安は、医療機関によって異なります。以下では、参考までに当院の検査費用を紹介します。
| 項目 | 保険(3割負担) | 自費(税込) |
|---|---|---|
| 抗核抗体 | ー | 1,100円 |
| 抗カルジオリピンIgG抗体 | ー | 2,200円 |
| 抗カルジオリピンIgM抗体 | ー | 3,300円 |
| 抗CLβ2GPI-IgG抗体 | ー | 3,300円 |
| 抗CLβ2GPI-IgM抗体 | ー | 3,300円 |
| ループスアンチコアグラント(LAC) | ー | 2,200円 |
| 抗フォスファチジルエタノールアミンIgG抗体 | ー | 4,400円 |
| 抗フォスファチジルエタノールアミンIgM抗体 | ー | 4,400円 |
| 抗プロトロンビン抗体 | ー | 5,500円 |
| β2GPIネオセルフ抗体(先進医療) | ー | 44,000円 |
| プロテインS活性 | ー | 2,200円 |
| プロテインC活性 | ー | 2,200円 |
| 凝固第XII因子 | ー | 2,200円 |
| 凝固第XIII因子 | ー | 2,200円 |
| PT,APTT,フィブリノーゲン | ー | 2,200円 |
| プラスミノーゲン | ー | 2,200円 |
| アンチトロンビン(AT) | ー | 2,200円 |
| FDP | ー | 2,200円 |
| Dダイマー | ー | 1,300円 |
| NK細胞活性 | ー | 5,500円 |
| Th1/2 | ー | 13,200円 |
| 25OHビタミンD | ー | 1,100円 |
| 末梢血染色体検査 | 8,850円 | ー |
不育症の検査の多くは保険が適用されない自由診療扱いで、項目ごとに費用が設定されています。一方で、末梢血染色体検査のように、保険が適用される検査もあります。今後、制度が変わる可能性もあるので、保険適用の範囲はその都度確認しておきましょう。
不育症検査には国や自治体の助成金が利用できる場合も
不育症検査の費用は、国や自治体の助成制度を利用して負担を軽くできる場合があります。
まず、知っておくべきは国が実施している不育症検査費用助成事業です。以下の基準に基づき、自治体を通じて助成金が支払われます。
【不育症検査費用助成事業の概要】
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 対象者 | 流死産を2回以上経験している人 |
| 対象となる検査 | 先進医療として行われる不育症検査 |
| 助成額 | 検査費用の7割(上限6万円) |
また、埼玉県では県独自の取り組みとして、不育症のリスク因子を特定する検査費用を助成しています。検査開始時の女性の年齢が35歳未満であれば3万円、35歳以上43歳未満であれば2万円を上限に助成金が支払われる仕組みです。
お住まいの自治体でも独自の助成制度が設けられている可能性があるので、担当窓口で最新情報を確認しておきましょう。
【参考】
不育症検査の流れ
不育症検査を進めるにあたって、最初におこなわれるのは問診です。これまでの流産・死産の経緯や健康状態などを詳しく聞き取られることになるでしょう。そのうえで、本人の希望を踏まえながら、医師が検査方針を決定します。
検査の多くは外来で受けられますが、体調をみながら行うものもあるため、場合によっては複数回の来院が必要です。
後日、検査結果の伝達があるので、医師と相談しながら、原因に応じた治療方針を決めていきます。なお、検査内容にもよりますが、結果が出そろうまでには1週間~3週間程度を要するものと考えておきましょう。
当院での受診の流れは、以下のページでも紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
【関連記事】初めて受診される方へ
不育症検査を受けるタイミングとは?
流産や死産を2回以上くり返した場合は、不育症検査を受けることも選択肢のひとつに入れておきましょう。
一度目の流産・死産は偶発的に起こることも多く、必ずしも母体側に問題があるとは限りません。一方、流産・死産をくり返す場合には、根本的な要因が潜んでいる可能性があるため、不育症検査を受けてみる価値があります。
とはいえ、不育症検査を受けるタイミングに、絶対的な決まりがあるわけではありません。年齢や不妊治療の状況、本人の希望によっても適切なタイミングは変わってきます。まずは医師と相談し、自分自身の状況に合ったタイミングを見極めることが大切です。
まとめ
不育症の検査では、子宮の形やホルモン、染色体の状態などを多角的に調べていきます。検査の多くは自費となりますが、国や自治体の助成制度を利用できる場合もあるので、有効に活用しましょう。
検査を受けるタイミングは、流産や死産を2回以上経験したときがひとつの目安です。
不育症の原因がわかれば、次の妊娠に向けた対策を立てやすくなり、精神的な負担の軽減にもつながります。まずは、かかりつけの医師に相談することから始めてみてください。
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