腹腔鏡手術の入院期間は何日?疾患別の目安や入院から退院までの流れを解説

腹腔鏡手術の入院期間は何日?疾患別の目安や入院から退院までの流れを解説

「腹腔鏡手術を受けることになったけれど、何日くらい入院するの?」「退院後はいつから仕事に戻れる?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

腹腔鏡手術は、開腹手術と比べて傷が小さく、術後の回復が早い傾向があります。そのため、比較的早く退院できるケースもあります。

ただし、入院期間は手術を受ける部位や術式、術後の経過によって異なります。「腹腔鏡手術なら○日で退院できる」とは一概にいえません。

本記事では、腹腔鏡手術の入院期間について、疾患・術式別の目安を紹介します。入院から退院までの流れや、退院後に仕事・運動などを再開できる時期についても解説するので、手術を控えている方は参考にしてください。

この記事の監修者
恵愛生殖医療医院 院長 林 博
恵愛生殖医療医院 院長林 博

1997年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学病院にて生殖医学に関する臨床および研究に携わる。

2011年4月恵愛病院生殖医療センター開設。生殖医療専門医・臨床遺伝専門医の資格等数多くの資格を資格を保有。

自ら体外受精・顕微授精や不育治療を経験しており、患者さま目線の治療を心がけている。

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腹腔鏡手術の入院期間はどれくらい?

腹腔鏡手術の入院期間は一概にはいえず、手術内容によって数日から10日以上になる場合があります。実際に医療機関が示している入院期間を見ても、手術内容によって大きな差があります。

このように、「腹腔鏡手術=○日で退院」と一律に考えることはできません。予定されている術式を確認したうえで、具体的な入院期間を担当医に確認することが大切です。

【疾患別】腹腔鏡手術の入院期間の目安

腹腔鏡手術の入院期間は、手術する臓器や術式によって異なります。医療機関が公表している入院期間の一例は、以下のとおりです。

手術の種類入院期間の目安
腹腔鏡下虫垂切除術3~5日程度
腹腔鏡下胆嚢摘出術4~6日程度
腹腔鏡下そけいヘルニア手術3~5日程度
腹腔鏡下腹壁ヘルニア手術4~7日程度
腹腔鏡下大腸切除術7~10日程度
腹腔鏡下胃切除術10~14日程度
腹腔鏡下異所性妊娠手術4日程度
腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術5日程度
腹腔鏡下子宮全摘術7日程度

それぞれ詳しく見ていきましょう。なお、ここで紹介する数字はあくまで目安です。実際の入院期間については、手術を受ける医療機関へ直接確認してください。

胆嚢・虫垂などの腹腔鏡手術

胆嚢や虫垂などの腹腔鏡手術は、数日程度の入院となるケースがあります。

術式ごとの目安は、以下のとおりです。

  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術:4~6日
  • 腹腔鏡下虫垂切除術:3~5日
  • 腹腔鏡下そけいヘルニア手術:3~5日
  • 腹腔鏡下腹壁ヘルニア手術:4~7日

ただし、同じ手術でも炎症の程度や術後の経過などによって、入院期間が延びる場合があります。

胃・大腸などの腹腔鏡手術

胃や大腸を切除する腹腔鏡手術では、1週間以上の入院が必要になるケースもあります。

具体的には、腹腔鏡下大腸切除術で7~10日、腹腔鏡下胃切除術で10~14日をおよその入院期間として案内されるケースがあります。

胃や大腸の手術では、術後に消化管の状態を確認しながら食事を段階的に再開する必要があります。そのため、胆嚢や虫垂などの手術より入院期間が長くなる場合があります。

婦人科の腹腔鏡手術

婦人科の腹腔鏡手術も、術式によって入院期間が異なります。

術式ごとの目安は、以下のとおりです。

  • 腹腔鏡検査(観察のみ):日帰り~3日
  • 異所性妊娠手術:4日
  • 腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術:5日
  • 腹腔鏡下子宮全摘術:7日
  • 腹腔鏡下子宮筋腫核出術:7日

ただし、同じ手術でも病変の状態や手術内容、術後の経過などによって入院期間は異なります。実際の入院期間については、受診先の医療機関へご確認ください。

腹腔鏡手術は開腹手術より入院期間が短い?

腹腔鏡手術は、開腹手術より入院期間が短くなる傾向があります。

腹腔鏡手術では、お腹を大きく切開せず、小さな傷からカメラや手術器具を挿入します。そのため、開腹手術と比べて術後の痛みが少なく、胃腸の動きや身体機能の回復が早い傾向があるのです。

ただし、入院期間の短さだけで手術方法の優劣を判断することはできません。

病気の種類や進行度、過去の手術歴、患者さんの全身状態などによって、適した手術方法は異なります。入院期間だけでなく、安全性や治療効果なども踏まえて術式を選択することが重要です。

腹腔鏡手術の入院から退院までの流れ

腹腔鏡手術では、入院後に必要な準備を行い、手術後の経過を確認してから退院するのが一般的です。

ここでは、一般的な流れを紹介します。なお、入院するタイミングや食事・歩行を再開する時期は、手術内容や医療機関によって異なります。

1.手術前日|入院・手術準備

手術前日など、医療機関から指定された日に入院します。

入院後は手術に向けて必要な検査を受けるほか、医師から手術方法、麻酔科医から麻酔について説明を受けます。

また、手術内容によっては食事や水分の摂取が制限されたり、腸管を空にするための処置を行ったりする場合があります。

具体的な準備内容は術式によって異なるため、医療機関から受けた指示に従いましょう。

2.手術当日|腹腔鏡手術を受ける

腹腔鏡手術は、全身麻酔で行われるのが一般的です。

全身麻酔によって眠った状態になったあと、お腹に数か所の小さな穴を開けます。そこからカメラや手術器具を挿入し、モニターで腹腔内を確認しながら手術を進めます。

手術にかかる時間は、対象となる臓器や術式、病変の状態などによって異なります。

手術後は病室などに戻り、血圧や体温、出血の有無などを確認しながら経過を観察します。

3.術後1日目~|歩行・食事を徐々に再開

術後は患者さんの状態を確認しながら、少しずつ身体を動かしていきます。

ベッドから起き上がり、問題がなければ立ったり歩いたりする「離床」を進めます。

食事についても、手術した部位や腸の動きなどを確認しながら再開します。特に胃や大腸などの消化管を手術した場合は、段階的に食事を進めることがあります。

無理に動いたり食べたりする必要はありません。医師や看護師の指示に従って進めましょう。

4.術後数日~|経過に問題がなければ退院

術後の経過に問題がなければ、医師の判断によって退院となります。

退院の時期は、手術内容だけでなく、発熱や出血がないか、食事がとれるか、歩行できるかなどを確認したうえで決まります。

術後の状態によっては、予定より入院期間が長くなることもあります。

腹腔鏡手術の入院期間が延びるケース

腹腔鏡手術でも、術後の経過によっては予定より入院期間が延びることがあります。

たとえば、以下のようなケースです。

  • 発熱や出血などがみられる:術後の状態を確認するため、退院を延期する場合があります。
  • 食事や歩行の回復に時間がかかる:食事を十分にとれない場合や、安全に歩行できない場合などは経過観察が必要です。
  • 術後に合併症が起こる:感染や出血などの合併症が起これば、追加の治療が必要になる場合があります。
  • 手術中に開腹手術へ変更される:出血や強い癒着などによって腹腔鏡で安全に手術を続けられない場合は、開腹手術へ変更されることがあります。

入院前に示された日数は予定であり、必ずその日に退院できるとは限らない点を理解しておきましょう。

腹腔鏡手術の退院後はいつから普段の生活に戻れる?

腹腔鏡手術は比較的早期の社会復帰が期待できますが、退院した時点で完全に回復しているわけではありません。

仕事や運動などを再開する時期の目安は、以下のとおりです。

  • 仕事復帰
    デスクワークなど身体への負担が小さい仕事と、重い物を持つ仕事や立ち仕事では、復帰できる時期が異なります。軽い仕事は術後2週間から可能と案内しているケースもありますが、術後の経過によって異なるため、担当医に確認しましょう。
  • 運動
    散歩などの軽い活動と、腹部に負担がかかる激しい運動では再開時期が異なります。運動や旅行は術後4週間から可能とされるケースもありますが、 自己判断で再開せず、担当医に確認しましょう。
  • 入浴
    シャワーと浴槽につかる入浴では、再開できる時期が異なる場合があります。傷の状態や術式によっても変わるため、退院時に医師や看護師へ確認しましょう。

なお、退院後に強い腹痛や発熱、傷口からの出血などがみられた場合は、手術を受けた医療機関へ相談してください。

腹腔鏡手術の入院期間に関するよくある質問

最後に、腹腔鏡手術の入院期間についてよくある質問に回答します。ただし、実際の入院期間や退院のタイミングは術式や患者さんの状態によって異なります。ここで紹介する内容は目安として参考にしてください。

腹腔鏡手術は日帰りで受けられる?

腹腔鏡手術のなかには、日帰りで受けられるものもあります。

ただし、すべての腹腔鏡手術を日帰りで受けられるわけではありません。

対象となる術式や患者さんの状態、医療機関の体制などによって異なるため、日帰り手術を希望する場合は担当医に確認しましょう。

腹腔鏡手術では最短何日で退院できる?

腹腔鏡手術の退院までの日数に、一律の「最短○日」という基準はありません。

術式や医療機関によっては日帰りで手術が行われるケースもありますが、胃や大腸などの手術では、退院まで1週間以上かかることも珍しくありません。

予定している手術について、入院から退院までの日数を担当医に確認するのが確実です。

退院が予定より早くなることはある?

術後の経過や医療機関の方針によっては、予定より早く退院できる場合もあります。

ただし、退院時期については、傷の状態のほか、発熱や出血の有無、食事、歩行などを総合的に確認し、医師が判断します。

退院後すぐに一人で生活できる?

退院後すぐに一人で生活できるかどうかは、手術内容や術後の体調によって異なります。

退院できる状態でも、手術前と同じように家事や買い物などをこなせるとは限りません。特に重い物を持つ、長時間立ち続けるといった動作は、しばらく控えるよう指示される場合があります。

一人暮らしの場合は、食事や買い物、通院などで困ることがないか、退院前に確認しておきましょう。

不安がある場合は、退院後にどの程度の生活ができるのか、家族などのサポートが必要かを医師や看護師へ相談してください。

まとめ

腹腔鏡手術は、開腹手術と比べて術後の回復が早く、入院期間も短くなる傾向があります。

ただし、「腹腔鏡手術なら○日で退院できる」と入院期間を一律で考えることはできません。医療機関が示す目安でも、虫垂切除術では3~5日程度、胆嚢摘出術では4~6日程度なのに対し、胃・大腸の切除では1週間以上の入院となる例があります。

また、同じ術式でも術後に発熱や出血、合併症などがあれば、予定より退院が遅くなる場合があります。

入院期間が気になる方は、まず自分が受ける予定の術式を確認しましょう。そのうえで、入院予定日数や退院の条件、仕事・運動を再開できる時期について担当医に確認しておくことが大切です。

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