【2026年11月版】不妊治療の助成金制度とは?金額や条件、利用の流れをわかりやすく解説

「不妊治療ってお金がかかると聞いたけど、助成制度ってまだ使えるの?」
「保険適用になったのは知ってるけど、それ以外にも支援ってあるのかな…」
このような疑問を持ちながら、不妊治療を検討している方も多いのではないでしょうか。
実際、2022年4月の保険適用によって国の助成金制度は終了しているものの、現在でも都道府県や市区町村によっては独自の助成制度が残っており、条件を満たせば費用の一部を補助してもらえるケースがあります。
【2026年10月更新】東京都の不妊治療費助成は、2026年4月1日以降に開始した治療から、保険診療の体外受精・顕微授精の自己負担分も対象になりました(1回の治療につき上限15万円)。申請の受付は2026年10月1日に始まっています。本記事はこの新制度の内容に更新しています。
そこで本記事では、不妊治療に関する助成金制度の概要や現状、利用できる条件、申請の流れまでをわかりやすく解説します。
治療費の不安を少しでも軽くできるよう、ぜひ参考にしてください。
不妊治療に関する助成金制度の現状
不妊治療に関する助成金制度とは、経済的負担が大きい不妊治療に対して、国や自治体などが治療費の一部を補助してくれる制度です。
かつては、厚生労働省が主体となって「特定不妊治療費助成制度(旧制度)」を実施しており、体外受精や顕微授精などに対して1回あたり最大30万円の助成が受けられていました。
ただし、2022年4月に不妊治療の保険適用が開始されたことに伴い、国の助成制度は終了しています。
一方で、各都道府県や市区町村では、独自に助成金制度を設けて支援を続けている地域もあります。2026年4月からは東京都が助成の対象を保険診療分にも広げるなど制度は年度ごとに変わるため、お住まいの自治体の最新の制度内容をチェックすることが重要です。
【都道府県別】不妊治療に関する助成金制度一覧
多くの都道府県では、国の助成制度終了後も独自に不妊治療支援を続けています。
以下では、各都道府県ごとの不妊治療に関する助成金制度をまとめましたので、お住まいの地域の自治体ホームページにて詳細を確認してみてください。
※都道府県によっては、体外受精・顕微授精そのものではなく、不育症検査や不妊検査、通院交通費などが対象の制度のみの場合があります。カッコ内に制度の種類を記載していますので、リンク先で対象をご確認ください(2026年10月時点)。
北海道・東北地方
中部地方
関東地方
近畿地方
中国・四国地方
九州地方・沖縄
市区町村でも不妊治療の助成金制度が設けられている場合も
自治体によっては、都道府県とは別に市区町村レベルで不妊治療の助成制度を設けていることがあります。
たとえば文京区では、不妊治療の中でも「先進医療」や「自由診療」にかかる費用について、領収書と医療機関の証明書を添えて申請することで助成を受けられます。
なお、申請期限や必要書類の形式などは自治体によって異なるため、詳細は各自治体の公式サイトで確認するようにしましょう。
埼玉県は県の助成がない一方、市町村ごとの助成がある
2026年10月現在、埼玉県(県)としては、体外受精・顕微授精に併用する先進医療への助成制度はありません(県の助成は不育症検査が対象です)。
一方で、県内の市町村には独自の助成を設けているところがあります。たとえば次のような例です。
- 和光市:保険診療の体外受精・顕微授精(精巣内精子採取術を含む)を初めて受ける方に、上限5万円を助成(1組につき生涯1回)。治療終了から6か月以内に申請。市の公式LINEから申請できます。
- 蕨市:保険診療の体外受精・顕微授精に併用した先進医療費の7割を、1回につき上限15万円まで助成(40歳未満は6回、40〜43歳未満は3回まで)。
対象や金額は市町村ごとに違い、年度の途中で変わることもあります。お住まいの市町村の公式サイトで「不妊治療 助成」と検索して、最新の内容を確認してください。志木市・ふじみ野市・富士見市にお住まいの方はこちらの記事、練馬区・板橋区にお住まいの方は練馬区・板橋区の助成制度の記事もご覧ください。
先進医療の費用に備える方法としては、民間の医療保険の「先進医療特約」もあります。助成制度と保険を組み合わせることで、治療費の見通しが立てやすくなります。
お住まいの自治体の助成が手薄でも、費用負担を抑える方法はあります。当院の費用やART自費応援プランについて、お気軽にご相談ください。
東京都の不妊治療費助成制度(2026年4月から拡大)
当院には東京都(練馬区・板橋区・北区など)からも多くの方が通院されています。東京都の助成は2026年4月1日以降に開始した治療から内容が大きく変わりましたので、新制度を中心に解説します。
東京都の不妊治療に関する助成は、主に「不妊検査・一般不妊治療」と「体外受精・顕微授精(生殖補助医療)」の2つに分かれています。ここでは、体外受精・顕微授精に対する「東京都不妊治療費助成事業」を取り上げます。
助成の対象となる治療と費用
2026年4月1日以降に開始した治療では、次の両方が助成の対象です。
- 保険診療として受けた体外受精・顕微授精の自己負担分
- 保険診療と併用して受けた先進医療の費用(厚生労働省に登録された医療機関で受けたもの)
全額自己負担(自由診療)で受けた体外受精・顕微授精や、人工授精などの一般不妊治療は対象外です。
なお、2026年3月31日までに開始した治療は旧制度の扱いとなり、対象は先進医療の費用のみ(費用の7割、上限15万円)です。4月1日をまたいで続いた治療も、旧制度の対象は先進医療に限られます。
当院は先進医療の実施医療機関として、タイムラプス培養、子宮内膜受容能検査(ERA)、子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)、子宮内膜刺激術(SEET法)、PICSI、IMSI、膜構造を用いた生理学的精子選択術、抗ネオセルフ抗体検査を届け出ています。これらを保険診療と併用した場合、その費用も助成の対象になります。
助成の対象となる人
次の条件をすべて満たす必要があります。事実婚の方は、法律婚の方とは要件が異なるため、それぞれ確認が必要です。
- 【共通の要件】
- 保険診療として体外受精・顕微授精を受けていること(自由診療は対象外)
- 先進医療を受ける場合は、厚生労働省の登録医療機関で受けていること
- 1回の治療の開始時点で、妻の年齢が43歳未満であること
- 【法律婚の方】
- 1回の治療の初日から申請日まで、夫婦が婚姻関係にあること
- その期間、夫婦いずれか一方が継続して東京都内に住民登録していること
- 【事実婚の方】
- 他に法律上の配偶者がいないこと
- 夫婦ともに東京都内の同一住所に継続して住民登録があり、同一世帯であること
- 同一世帯でない場合は「2人が事実婚関係にあること(別世帯の理由含む)」と「治療により出生した子を認知する意向があること」という申立書が必要
所得による制限はありません。申請前に、これらの条件に該当するかどうかをしっかり確認しておきましょう。
助成金額
保険診療の自己負担分と先進医療費を合算した額について、1回の治療につき15万円を上限に助成されます。
高額療養費や健康保険組合の付加給付を受けた場合は、その額を差し引いた金額が対象です。民間の医療保険からの給付は差し引く必要がありません。旧制度にあった「先進医療費の10分の7」という計算は、新制度では行われません。
助成回数の上限
助成の回数は、保険適用の回数と同じです。1人の子どもごとに回数はリセットされます。
| 妻の年齢(治療開始日基準) | 保険適用回数 | 助成の上限回数 |
|---|---|---|
| 40歳未満 | 6回まで | 6回まで |
| 40歳〜43歳未満 | 3回まで | 3回まで |
保険適用の残り回数がわからない方は、体外受精の保険適用の記事で確認できます。
申請の受付開始日と期限
- 新制度の申請受付は2026年10月1日に始まりました。受付開始前に送られた申請は無効です。
- 申請期限は、1回の治療が終了した日の属する年度の3月31日まで(電子申請の送信日・消印有効)です。
- 1月〜3月に治療が終了した場合は、同じ年の6月30日まで申請できます。
申請方法と必要書類
申請は原則として電子申請(LoGoフォーム)です。電子申請が難しい場合は、東京都の担当窓口に連絡すると申請書類が案内され、郵送で提出できます(原本を簡易書留などで送付)。
主な必要書類は次のとおりです。
- 不妊治療費助成事業受診等証明書(医療機関が記入)
- 住民票の写し(申請日から3か月以内のもの)
- 戸籍全部事項証明書(申請日から3か月以内のもの。事実婚の方は毎回必要)
- 夫婦双方の健康保険の資格情報がわかるもの(マイナポータルの画面や資格確認書)
- 夫婦双方の限度額適用認定証の区分がわかる書類
- 高額療養費・付加給付の支給決定通知書(支給があった場合)
受診等証明書は治療を受けた医療機関が記入します。当院で治療を受けた方は、治療が終わったら受付でお申し出ください。発行まで日数がかかることがあるため、早めのご依頼をおすすめします。
最新の情報は、東京都福祉局「東京都不妊治療費助成事業の概要」で確認してください。
不妊治療の助成金制度を利用する流れ
不妊治療にかかる費用を少しでも軽減するためには、助成制度を適切に活用することが重要です。
ただし、助成を受けるには所定の手続きが必要であり、流れを把握しておかないと申請期限に間に合わなかったり、必要書類が不足していたりするリスクもあります。
ここでは、実際に助成金を受け取るまでの基本的な流れを5つのステップに分けてご紹介します。
各自治体で助成金制度の内容を確認する
まずは、自分が住んでいる自治体の助成制度の内容を確認しましょう。
不妊治療に関する助成金は都道府県や市区町村ごとに制度内容が異なり、対象となる治療や助成金額、申請方法もさまざまです。
自治体の公式ホームページや「不妊治療 助成金 〇〇市」といったキーワードで検索し、申請要件・助成対象・申請期間・必要書類を必ず確認しましょう。
対象医療機関で治療を受ける
不妊治療の助成金を利用するには、自治体が指定する対象医療機関で治療を受けることが前提となります。
特に先進医療に対する助成を希望する場合は、厚生労働省に登録された「先進医療実施医療機関」で治療を受けなければなりません。
治療を開始する前に、医療機関が助成制度の対象かどうか、事前に医療機関や自治体に確認しておくと安心です。
助成金受診証明書やその他の必要書類を発行する
治療が終了したら、助成金の申請に必要な書類を揃えましょう。
なかでも重要なのが、医療機関で発行される「受診等証明書」や領収書です。これは、実際に治療を受けた内容や金額を証明するために必須の書類となります。
証明書の発行には数日かかることが多いため、早めに依頼しておくと安心です。
併せて、以下のような書類も必要になる場合があります。
- 医療機関発行の受診証明書
- 領収書(原本)
- 住民票や戸籍謄本(婚姻関係を証明するもの)
- 身分証のコピー
- 振込先口座情報
- 高額療養費や付加給付の支給決定通知書(東京都など、保険診療分が対象の助成で必要な場合)
書類の様式や必要書類の種類は自治体によって異なるため、必ず該当自治体のホームページで最新情報を確認しましょう。
必要書類を自治体へ提出する
必要書類がすべて揃ったら、指定の方法で自治体に提出します。
提出方法は自治体によって異なり、東京都のように電子申請が原則の自治体もあれば、郵送・窓口・LINE申請に対応している市町村もあります。申請期限も「治療終了日の属する年度末まで」「治療終了から6か月以内」など自治体ごとに違うため、必ず確認しましょう。
なお、提出書類に不備があると再提出が必要となり、審査に時間がかかってしまうこともあります。
提出前にチェックリストなどを活用し、漏れがないかしっかり確認してから提出するようにしましょう。
助成金の受け取り
書類が受理され、審査が完了すると、助成金の支給が決定されます。
通常は、自治体から「助成決定通知書」などの書面が送付され、指定した銀行口座に助成金が振り込まれる流れです。
支給までの期間は自治体によって異なりますが、申請から1〜2か月程度かかるケースもあります。
まとめ
不妊治療の費用は決して安くはありませんが、自治体の助成制度を活用することで、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
2022年4月の保険適用で国の助成は終了しましたが、2026年4月からは東京都の助成が保険診療分にも広がり、1回の治療につき最大15万円の助成が受けられるようになりました。申請の受付は2026年10月1日から始まっています。
埼玉県では県の助成はないものの、和光市・蕨市のように市町村単位で助成を設けているところがあります。お住まいの自治体の制度を確認したうえで、申請期限と必要書類を早めに準備しておきましょう。
ただし、助成制度を活用するためには、対象となる治療内容や医療機関の条件、提出書類、申請期限などを事前にしっかり確認することが重要です。
少しでも不安や疑問がある場合は、早めに医療機関や自治体の窓口に相談してみましょう。制度を正しく理解しておくことで、安心して不妊治療に向き合うことができます。
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「自分はどの治療から始めればいい?」そんな疑問もお気軽にご相談いただけます。