体外受精の保険適用は何回まで?年齢・残り回数・リセットの条件を確認ツールで解説

体外受精の保険適用は何回まで?年齢・残り回数・リセットの条件を確認ツールで解説

「体外受精は保険で何回まで受けられるの?」
「他院で2回移植したけど、残りはあと何回?」

体外受精の保険適用には年齢と回数の条件があり、「自分の場合はどうなのか」がわかりにくいのが実情です。

本記事では、保険適用の条件と回数の数え方、出産後のリセット、他院での回数の扱いを整理したうえで、年齢と回数を入れるだけで残り回数の目安がわかる確認ツールを用意しました。回数を使い切った後や43歳以降の選択肢(ART自費応援プラン)もあわせて解説します。

この記事の監修者
恵愛生殖医療医院 院長 林 博
恵愛生殖医療医院 院長林 博

1997年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学病院にて生殖医学に関する臨床および研究に携わる。

2011年4月恵愛病院生殖医療センター開設。生殖医療専門医・臨床遺伝専門医の資格等数多くの資格を資格を保有。

自ら体外受精・顕微授精や不育治療を経験しており、患者さま目線の治療を心がけている。

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Index目次

体外受精の保険適用の条件(年齢・回数・婚姻)

体外受精・顕微授精は2022年4月から健康保険の適用対象になり、条件を満たせば原則3割の自己負担で治療を受けられます。条件は次の3つです。

  • 年齢:1回の治療を始める時点で、女性が43歳未満であること
  • 回数:治療を始めたときの年齢に応じた上限回数の範囲内であること(下の表)
  • 婚姻:法律婚または事実婚の夫婦であること(治療計画書への夫婦の同意・署名が必要)
治療を始めたときの女性の年齢保険で受けられる上限回数補足
40歳未満胚移植6回まで治療中に40歳を超えても6回まで受けられる
40歳以上43歳未満胚移植3回まで43歳になると、新しい治療周期は保険で始められない
43歳以上対象外43歳になる前に始めた周期は、そのまま保険で続けられる

年齢の基準は「保険で体外受精の治療計画を初めて立てた(初回受診した)ときの年齢」です。39歳で始めた方は、40歳を超えても上限は6回のままです。一方、42歳で始めた方は上限3回ですが、43歳の誕生日を迎えた後は新しい周期を保険で始めることはできません(進行中の周期は続けられます)。

制度の詳細は、こども家庭庁の資料「令和4年4月から、不妊治療が保険適用されています。」でも確認できます。不妊治療全体の保険の範囲(タイミング法・人工授精など)は、不妊治療の保険適用の記事にまとめています。

保険で受けられる回数は「胚移植の回数」で数える

保険適用の「1回」は、胚移植を1回行った時点で1回と数えます。採卵・受精・培養・凍結は何度行っても回数に含まれません。

ただし、保険診療で凍結した胚が残っている間は、それをすべて移植してからでないと次の採卵を保険で受けることはできません。

また、回数は医療機関をまたいで通算されます。他院で保険の胚移植を2回受けてから当院に移った場合、当院で受けられるのは残りの回数です。2022年3月以前に自由診療で受けた体外受精は回数に含まれません。

【確認ツール】あなたの保険適用の残り回数

「自分はあと何回保険で受けられるのか」を、年齢とこれまでの回数から確認できます。他院で治療中の方も、これまでの胚移植の回数を合わせて入力してください。

保険適用の残り回数 かんたん確認

いくつかの質問に答えると、体外受精・顕微授精を保険で受けられる残りの回数の目安がわかります。

今の年齢は、治療を始めたときの年齢以上を選んでください。

保険で受けられる残りの回数(目安)

保険の回数を使い切った方・43歳以上の方へ:ART自費応援プラン

採卵・胚移植・胚培養・胚凍結などの手術料金を、保険診療と同じ3割負担で受けられる回数限定のプランです(薬剤費・検査料は自費)。

ART自費応援プランの詳細を見る

※この結果は目安です。保険適用の可否や回数は、治療開始時の年齢・これまでの治療内容・保険者の確認によって決まります。正確な残り回数は、受診時にご確認ください。

回数がリセットされるケース(出産・12週以降の死産)

保険の胚移植で妊娠し、出産した場合(妊娠12週以降の死産を含む)は、それまでの回数が0回に戻り、次の子どもに向けて改めて上限回数まで保険で受けられます。

このとき上限回数は、次の治療を始める時点の年齢で判定し直されます。たとえば38歳で1人目を出産し、41歳で2人目の治療を始める場合、2人目の上限は3回です。

43歳以上・回数を使い切った後の選択肢(ART自費応援プラン)

保険の上限回数に達した場合や、43歳以上で新しい周期を始める場合、治療は自費診療になります。自由診療の体外受精は1回あたり40万〜60万円程度かかることが多く、経済的な負担は大きくなります。

当院では、保険の回数を使い切った方と43歳以上50歳未満の方を対象に、採卵・胚移植・胚培養・胚凍結などの手術料金を保険診療と同じ3割負担で受けられる「ART自費応援プラン」を用意しています(薬剤費・検査料は自費)。

  • 当院で治療中・治療歴のある方:胚移植2回まで(2回終了までは採卵回数に制限なし)
  • 他院で治療歴があり、新たに当院で始める方:胚移植1回まで
  • これまで体外受精を受けたことがない方、50歳以上の方:対象外

保険の回数を超えても、治療をあきらめる必要はありません。応援プランの内容と費用の概算は、費用ページでご確認ください。

保険と先進医療・自費の併用で注意すること

タイムラプス培養やPICSIなど、国が「先進医療」として認めた技術は、保険診療と同時に受けることができます。この場合、先進医療の部分だけが自己負担(全額)となり、それ以外は保険が適用されます。

一方、先進医療として認められていない自費の治療(PGT-A、PRP療法など)を保険診療と同じ周期に組み合わせることは「混合診療」にあたり、認められていません。その周期の治療はすべて自費扱いになります。保険の周期に自費の治療を加えたい場合は、必ず事前に医師にご相談ください。

なお、先進医療の費用については、東京都のように保険診療分とあわせて助成の対象にしている自治体があります。詳しくは不妊治療の助成金制度の記事をご覧ください。

保険適用で費用はどれくらい変わる?

自由診療で1回40万〜60万円程度かかる体外受精が、保険適用では3割負担となり、1回あたりおおむね10万〜20万円前後に抑えられます。使用する薬剤や事前の検査も保険の対象です。

さらに、保険診療には「高額療養費制度」が使えます。1か月の医療費の自己負担が上限額(年収約370万〜770万円の方で月8万円前後)を超えた分は払い戻されるため、採卵と移植が同じ月に重なった場合などは負担がさらに軽くなります。事前に「限度額適用認定証」を用意しておくと、窓口での支払い自体を上限額までに抑えられます。

なお、自費の治療やART自費応援プランには高額療養費制度は適用されません。

当院で保険の体外受精を受ける流れ

当院は保険診療による体外受精・顕微授精と、先進医療(タイムラプス培養、ERA、EMMA/ALICE、SEET法、PICSI、IMSIなど)の実施医療機関です。

  1. 初診で検査と治療の相談(他院で治療中の方は、これまでの治療記録をお持ちください)
  2. 治療計画書の作成と、ご夫婦での同意・署名(保険診療の要件です)
  3. 採卵・培養・胚移植(保険の残り回数の範囲で進めます)

他院で保険の治療を受けている途中で当院に移る場合も、残りの回数は当院で引き続き受けられます。

まとめ

体外受精の保険適用は、治療を始めたときの年齢が40歳未満なら胚移植6回、40〜42歳なら3回までで、43歳以上は新しい周期を始められません。回数は胚移植で数え、医療機関をまたいで通算され、出産すると0回に戻ります。

自分の残り回数は、記事内の確認ツールで目安を確認できます。回数を使い切った後や43歳以降も、ART自費応援プランで手術料金の負担を抑えながら治療を続けることができます。

「自分の場合は何回残っているのか」「次の周期を保険で始められるのか」は、治療計画に直結します。迷ったときは、早めにご相談ください。

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