子宮卵管造影(HSG)について

卵管とは

子宮と卵巣をつなげている管を卵管と呼びます。卵管は卵子と精子の通り道であり、出会って受精する場所です。受精ができないと絶対に妊娠することはできません。
卵管は子宮の左右両側にありますが、もし両側とも卵管が詰まっていたら、受精することができなくなるので自然の妊娠は不可能となります。
卵管に異常があるとその後の治療方針が全く変わってしまうので、一番初めにやっておいた方が良い検査のひとつと考えています。通常、月経終了後から排卵までの間(月経周期28日の方の場合で、7-10日目前後)に行います。
一部健康保険の適応がなく、約1万円の料金がかかります。

子宮卵管造影のやり方

子宮の入り口から管を入れて、造影剤を子宮内から卵管へ流し込み、子宮内の状態と両側の卵管の通りおよび、卵管からおなかの中への拡がりを見る検査です。卵管は非常に細く超音波ではほとんどみることができませんが、造影剤はレントゲンで白く光るため卵管が通っているかどうかがはっきりとわかります。
おなかの中への拡がりがよくわからないことがあり、その場合後日(通常は翌日)もう一度いらしていただき、レントゲンをとる場合があります(この時はレントゲンのみで造影は必要ありません)。
この検査をすることにより、軽度の詰まりであれば卵管の通りを良くすることができます。そして卵管の通りや働きがよくなり妊娠しやすくなることもあり、治療的な効果も期待できます。

子宮卵管造影を実施した場合の利益と危険性について

子宮卵管造影を実施した場合の最も大きな利益は、妊娠しやすくなるということです。両側の卵管を造影剤で押し流すことにより、卵管の通りや働きが良くなります。卵管造影をするだけで妊娠が成立することも多いです。
また、子宮卵管造影をすることにより卵管の詰まりなどがわかると、その後の治療方針が決定しやすくなります。

一方、子宮卵管造影には、以下の副作用・欠点があります。

1. 痛い検査ですが、痛みの軽減に努めています

痛いポイントは2か所あります。まず1つは子宮の中に管を入れて風船を膨らます時です。これは管が抜けないようにするためと造影剤が膣内に逆流しないようにするために必要です。子宮が圧迫されるので痛みが出ます。
2つめは造影剤を卵管に流すときです。通常1-2分間くらいで造影は終わりますが、卵管は非常に細い管で、油性の造影剤が卵管を流れるときに強い痛みを感じることがあります。当院ではなるべく細い管を使用し、また検査前に痛み止めの座薬を使用し(使用しないこともあります)痛みの軽減に努めています。


2. 造影後腹膜炎
卵管の先はおなかの中とつながっています。そのため、頻度はかなり低いのですが、子宮や卵管内にばい菌がいる場合、造影剤を流すことによりおなかの中にばらまかれてしまうことがあります。子宮内膜症のある方やクラミジア感染のある方では少しなりやすいようです。当院では予防的に抗生剤を検査後2日間飲んでいただきます。

3. 造影剤の残留
当院では、原則水溶性の造影剤を使用します。
水溶性造影剤はおなかの中で速やかに吸収され尿から排出されます。おなかの中に残留することはなく、甲状腺機能などへの影響も少ないとされています。すぐに妊娠された場合も胎児への影響はありません。
一方、油性造影剤を使用した場合、おなかの中ですぐには吸収されないため半年から1年くらいおなかの中に残ります。特に悪影響はありませんが、健診などでレントゲンやCTなどをとる際に残った造影剤が写ってしまうので、他の臓器がみにくくなってしまうことがあります。

4. ヨードの影響
ほとんどの造影剤にはヨードが含まれています。ヨードは甲状腺機能に影響を与えます。甲状腺機能異常などがある患者様は甲状腺機能に影響を与える可能性があります。また、ヨードに対するアレルギーがある方、喘息をお持ちの方には使用できないことがあります。
その他アレルギー反応などは他の検査と同程度の頻度で起こります。

子宮卵管造影を実施しない場合の不利益と危険性について

卵管の通りが確認できないと、もし両側の卵管が閉塞していた場合、いくらタイミング療法や人工授精を行っても妊娠はかなり困難となります。

子宮卵管造影を実施しない場合の他治療法等の選択肢について

卵管通水法や通気法もありますが、視覚的に評価できないため検査精度としては劣ります。また油性の造影剤を用いたほうが卵管造影後の妊娠率が高いことが報告されています。

同意書の撤回について

同意書をいただいた後でも、同意を撤回することはできます。その場合は担当医と、よくご相談ください。また、同意をしなくても、今後の当院での治療において不利益を受けることは一切ありません。

不同意の場合の治療の継続について

子宮卵管造影を実施することに同意できない場合は、担当医と今後の治療方法などについて、もう一度よくご相談ください。

緊急時の対応について

子宮卵管造影中に、予期せぬ事態が発生した場合は、担当医が最善の対処を致します。処置内容などについては担当医の判断にお任せください。

質問の機会について

説明された内容についてわからないことがある場合は、ご遠慮なく担当医に質問をしてください。同意書をいただいたあとでも、質問することはできます。